2022年4月19日、道路交通法の改正案が可決されました。
従来「原動機付自転車」の扱いだった電動キックボードが、運転免許やヘルメットが不要となる「特定小型原動機付自転車(特定小型原付)」と位置づけられることになったのです。
普通に考えたら重大事故が増えるように思えますが、この規制緩和は業者の要請によるものなのでしょうか。
電動キックボードの危なさを示す動画
SNSには電動キックボードの事故の動画がたくさん転がっていますが、その中から2つ貼っておきます。
電動キックボードは、急ブレーキをかけると人間大砲のように剥き身で飛んで行ってしまうところが怖いです。
電動キックボードがどうとか言われているが、これから乗ろうとしてる人は常に危険と隣り合わせということを自覚してほしい pic.twitter.com/cHmSQRTONM
— ゴリ看🦍 (@kajigorira) April 25, 2022
— The Darwin Awards (@AwardsDarwin_) April 26, 2022
道の端を走っていると、脇道から出てきた車の運転手が気付いてくれない恐れがあります。
電動キックボードの法改正の内容
2022年4月19日に可決された改正案の前に、現状のルールについて確認します。
電動キックボードは原付バイクと同じ扱いです。
すなわち、主なところでは以下のルールが適用されています。
- 運転免許証の携帯
- ヘルメット着用義務
- 歩道の走行禁止
- 保安部品(ミラーやライト等)の装着
一方、改正後のルールでは電動キックボードは「特定小型原付」という新たな区分に分類されることになります。
主な変更点は以下のとおりです。
- 年齢制限(16歳以上)と速度制限(20km/h以下)
- 運転免許証は不要に
- ヘルメット着用は努力義務
- 歩道の走行が可能に(6km/h以下)
- 保安部品の見直し(詳細未定)
年齢制限と速度制限を設けることと引き換えに、他のルールを「ほぼ自転車並みに」緩和するような内容になっています。
業界の働きかけがあったのでしょうか?
「最高速度を定めないと危険な乗り物だというレッテルが貼られる」という危機感と、「利便性を向上させないと普及が進まない」という危機感の、2つの意味があるように感じます。
ただ、まずは規制を緩和したとしても、いずれは規制を強めていかざるを得ない宿命にあるように思います。
なお保安部品の見直し内容については未定です(道路交通法とは別の道路運送車両法で保安基準を定めるべく検討中)。
今の電動キックボードは法改正で乗れなくなる?
法改正後に新しいルールで電動キックボードに乗るには、その機種が「特定小型原付」の保安部品の基準を満たしている必要があります。
しかし、上述のとおり保安部品の基準はまだ未定ですので、現在販売されている電動キックボードは改正後の基準を満たさない可能性があります。
もしも「特定小型原付」の基準を満たさなかった場合、その電動キックボードに乗れなくなってしまうわけではありません
ただし、従来の「原付」の扱いで乗らなくてはならないということです。
免許もヘルメットも従来通り必要です。
法改正の施行時期は明らかになっていませんが、1~2年後であろうと言われています。
保安部品の基準は当然その前に明らかになっているはずですので、1年程度待てば判明するでしょう。
免許無し・ヘルメット無しで電動キックボードに乗りたければ、今購入するのは控えて少し待った方が良さそうです。
まとめ
「電動キックボードの危険性は自転車と同等」という意見があることは承知しています。
確かに自転車も「剥き身」ですので、その意見を明確に否定することはできません。
でも、新たに普及してきた乗り物には、どうしても厳しい目を向けてしまうんですよね。
以上、電動キックボードのルール改正についてでした。