業務スーパーの創業者が、エネルギー事業で地熱発電に取り組んでいるという報道を目にしました。
しかも学校まで作ってしまったということです。
いったいどういうこと?何のために?と理解に苦しみましたが、北は北海道から、南は九州熊本まで股にかけた壮大な取り組みでした。
業務スーパー創業者のエネルギー事業に関する報道
私が目にした報道はYahoo!ニュースのこちらの記事で、出どころはテレビ朝日系のニュースです。
世界第3位の資源量を誇る、火山国日本の「地熱」。
日本には豊富な地熱がある割に、掘削に巨額の資金が必要なため開発は思うように進んでいないといいます。
その地熱に取り組んだのが、業務スーパー創業者の沼田昭二氏でした。
業務スーパー創業者はこんな人
沼田氏は1954年兵庫県の生まれで、もともとは三越出身の人物です。
1985年に、のちに業務スーパーを展開する神戸物産を創業しました。
業務スーパーといえば、自社生産にこだわるスーパーとして確固たる地位を築いています。
沼田氏は2012年に神戸物産の経営から退き、その4年後の2016年に「町おこしエネルギー」というエネルギー関連事業の会社を立ち上げました。
業務スーパー創業者のエネルギー事業
沼田氏の頭にあるのは、日本のエネルギーと食料の自給率の低さへの危機感だそうです。
日本のエネルギー自給率は11%、食料自給率は37%です。
国産エネルギーである地熱を使って、発電だけでなく、食品の生産性をも上げていき、自給率を向上させるのが事業の狙いだと言います。
事業化の進捗は不明ですが、「町おこしエネルギー」のホームページによると、「地熱発電事業」「養殖事業」「馬牧場事業」「地熱栽培事業」「観光事業」「地熱エコタウン」という6つの事業に取り組んでいます。
このうちの中核事業である「地熱発電事業」は、熊本県に開発中の地熱発電所が2024年には稼働を開始するとのことです。
日本国内の地熱発電
地熱発電はカーボンニュートラルな再生可能エネルギーであり、天候などに左右されず安定的に供給可能です。
しかも地熱資源は発電のみならず、養殖や温室栽培など食品の生産性向上に流用できます。
更には、上述のとおり日本には世界第3位と言われる豊富な地熱資源があるのです。
しかしその割に、日本の地熱発電設備の容量は低いレベルに留まっています(資源エネルギー庁)。
その最も大きな理由は、地熱発電は開発に掛かるコストや失敗リスクが高いことが挙げられます。
このような状況下においては、民間は国の強力なリーダーシップに期待して、なかなか手を出せないものです。
もちろん沼田氏も慈善事業ではなく採算を考えて取り組んでいるのでしょうが、リスクの取り方のスケールには驚くしかありません。
業務スーパー創業者は学校まで作った
地熱発電は開発(掘削)技術者の高齢化が問題になっているそうです。
このことにも危機感を抱いた沼田氏は、北海道に日本初の掘削技術の専門学校を作ってしまったのです。
単に資金があるだけでは、この発想は出てこないでしょう。
まとめ
ウクライナ危機をきっかけに、日本のエネルギー自給率の低さがよりクローズアップされています。
業務スーパー創設者のエネルギー事業への取り組みは、この自給率の低さに対する危機感が原動力となっていました。
日本ではあまり話題になることのない地熱発電は、地球にやさしいカーボンニュートラルな再生エネルギーです。
潜在的なポテンシャルは高いが資金がかかる、そこに参入した沼田氏に拍手を贈りたいと思います。
自ら参入できない貧乏人の自分としては、今後に注目です。