元参院議員の岐阜県の会社役員が、新幹線のグリーン券をだまし取った疑いで逮捕されました。
現職国会議員に成り済まして、議員当時の期限切れのJRパスを使用していたとのこと。
「議員時代のことが忘れられなかった」と話しているそうです。
忘れられないほどって、国会議員にはどのような手当が支給されているのでしょうか。
目次
まず憲法上の議員特権とは
日本国憲法が定める国会議員の特権には、大きく「不逮捕特権」「免責特権」「歳費特権」の3つがあります。
国会議員の自由な活動を保障する必要があるからなんですね。
不逮捕特権
不逮捕特権は、国会の会期中は逮捕されないという特権です。
また会期前に逮捕されていても、議員が所属する議院の要求があれば、会期中は釈放されます。
この特権は、逮捕された元国会議員が忘れられなかった特権とは関係ないようです。
免責特権
免責特権は、議院で行つた演説や討論、表決について、院外で責任を問われないという特権です。
これも、逮捕された元国会議員が忘れられなかった特権とは関係ないようです。
歳費特権
歳費特権は、議員活動に必要な歳費(給与)を国庫から受ける特権です。
逮捕された元国会議員が忘れられなかったのはこいつのように思えますが、実は違います。
歳費特権は給与についてなのに対して、JRパスは給与外の手当ですので、憲法が定める議員特権とは別の話なのです。
議員特権という言葉は「一般人と比べて国会議員には特権があるよね」という程度の意味で使われることが多いのですが、厳密にはJRパスは議員特権には含まれません。
元議員が忘れられなかった給与外手当
国会議員の歳費(給与)は年額約1,550万円ですが、これ以外に以下の手当てが支給されます。
期末手当
民間の賞与(ボーナス)に該当する手当です。
635万円/年。
文書通信交通滞在費
国政に関する調査研究、広報、国民との交流、滞在等の議員活動を行うための費用として支給されます。
1,200万円/年。
立法事務費
立法に関する調査研究のための費用として支給されます。
780万円/年。
この手当てが「文書通信交通滞在費」と別にあるのがよくわかりません。
JR特殊乗車券、国内定期航空券
逮捕された元国会議員が忘れられなかった手当はこれです。
国会議員には「JRパス」と「国内定期航空券」が支給されます。
航空券は、地元と東京の往復が月4回まで無料になります。
JRのグリーン車にも、航空機のファーストクラスにも、無料で乗れます。
最大限に利用すれば、年間数百万円になるものと思われます。
この手当ても「文書通信交通滞在費」と別にあるのがよくわかりません。
なお認められれば海外視察費も支給されます(1人あたり185万円、総額約2億円まで)。
秘書給与
公設秘書3名までの人件費が支給されます。
約2,000万円/年
給与の約1,550万円とは別に、ここまでの合計で国から年額5,000万円くらいになりますね。
これ以外にも、議員会館は無料ですし、議員宿舎は相場の2割程度で借りられます。
更に政党からの支給が、ポストにも依りますが年額数百万円はあるでしょう。
まとめ
逮捕された元議員は、落選後も立憲民主党岐阜県連の常任顧問だったことで、議員が身近な存在だったのがいけなかったのでしょうか。
議員の手当は必要な活動への支給ですので、議員がそれだけ国のために働いてくれるなら文句は言えません。
ただし、手当の正当性と、支給の正確性については、チェックを厳しくしてもらわなければ困りますね。
以上、元議員が忘れられなかった給与外手当についてでした。