ソダシは白毛馬として世界初のGI馬と言われています。
でもちょっと待てよ、白毛馬の定義って何だろう?
芦毛に分類される馬にも、毛色が真っ白に見えるものもいますよね。
今回は白毛馬と芦毛馬の見分け方と、いままでに白毛馬ってどれくらいいたのかについてまとめてみました。
白毛馬の扱いの変化
意外なことに、競走馬として国内で白毛馬が登録されたのは、1979年生まれのハクタイユーが最初でした。
ほんの40数年前まで、日本には白毛の競走馬は居なかったのです。
それは、白毛馬は体質的に弱く走らないという迷信があったためでした。
白毛はまれに腸の欠陥という致死性の疾患を伴って生まれることがあり、このことと混同して迷信が広まった可能性があります。
推測ですが、白毛馬が生まれたとしてもこの迷信があったため、行く末を悲観して登録されなかった馬が存在したのではないでしょうか。
白毛馬が弱いのは迷信らしいという認識が広まっても、何しろ事例が少ないだけに白毛馬の扱いは手探りと言うか半信半疑だったようです。
国内で最初に登録された白毛馬のハクタイユーは、4戦0勝で掲示板に1度も載らないという冴えない成績ながら、なんと種牡馬になりました。
これは多分に実験的な意味合いが強かったのだろうと思います。
ハクタイユーの産駒には5頭の白毛馬がおり、さらに孫には白毛が3頭、そしてひ孫にも白毛が3頭いますが、目立った競走成績の馬は出ていません。
白毛と芦毛の見分け方
白毛と似た毛色に芦毛があり、芦毛馬の中には見た目は白にしか見えないものも存在します。
実は毛の色で白毛と芦毛を見分けることはできません。
白毛と芦毛の見分け方のポイントは、毛の色ではなく肌の色なのです。
白毛馬の肌はピンク色なのに対して芦毛馬の肌は黒っぽく、鼻や口、目元、耳の内側などを見ると違いは明らかです。
毛色の白っぽい馬の殆んどが、肌の色は黒っぽい(つまり芦毛である)ことがわかると思います。
白毛の競走馬ってどれだけいるの?
1979年生まれのハクタイユー以降、国内で生まれた白毛馬は43頭が記録されています(2022年5月現在)。
このうち突然変異によるものは6頭のみで、両親の少なくともどちらかが白毛だったものが37頭でした(両親とも白毛は1頭)。
白毛ではない親から突然変異で白毛馬が生まれる確率は1万分の1とも2万分の1とも言われており、ほぼゼロと言ってよい値です。
しかし両親のうちどちらかが白毛だった場合は、かなりの高確率で白毛馬が生まれます。
突然変異の6頭は2005年生まれが最後で、2006年以後に生まれた27頭は全て親が白毛馬でした。
そして2008年以降は、2021年まで毎年白毛馬が生まれています。
この白毛馬の「大量生産」に大きな役割を果たしているのが、1996年生まれのシラユキヒメでした。
シラユキヒメ自身の競走成績は未勝利でしたが、父が大種牡馬サンデーサイレンスで母が米国からの輸入馬という期待の血統だったため、繁殖牝馬となりました。
突然変異の白毛だったシラユキヒメは、白毛馬を10頭産み、孫に白毛馬が13頭います。
国内で生まれた白毛馬43頭のうち、シラユキヒメとその子孫は合計24頭で、なんと半数以上を占めているのです。
この「シラユキヒメ一族」の白毛馬の多くはあの金子真人オーナーが所有し、キングカメハメハやクロフネなど金子オーナーゆかりの名種牡馬と交配されてきました。
そしてソダシもシラユキヒメの孫にあたる血統で、馬主は金子氏であり、父はクロフネです。
まとめ
国内で生まれた白毛馬は43頭いますが、突然変異の白毛馬は6頭のみで、8割以上の37頭が親からの遺伝による白毛です。
白毛馬が突然変異で生まれる確率はゼロに近いものですが、親が白毛であれば白毛馬は高い確率で生まれます。
シラユキヒメは12頭の仔を産みましたが、そのうち10頭は白毛ですから。
ここ10数年は毎年のように白毛馬が生まれています。
シラユキヒメ一族は元々が一流の血統ですので、今後もソダシに続く活躍馬が出てくるかもしれませんね。
以上、白毛馬の見分け方と、白毛馬は過去にどれくらいいたのかという話題でした。