生活・社会

購入した骨とう品が盗品だったら。持ち主に返却しなきゃいけないのか?

2022年5月11日

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寺院から盗まれた仏像がオークションで発見され、寺院に返却されたという記事を目にしました。

盗品だと知らないで購入したとしても、持ち主に返却しなければならないのでしょうか?

気になったので調べてみました。

 

盗まれた仏像が返却された記事

目にしたのはNHKの記事でした(NHKの報道)。

昨年の6月に京都の寺院「立本寺」から盗まれ行方が分からなくなっていた仏像「月天子(がってんじ)」がネットオークションに出品されているのが発見され、5月6日に出品者の古物商から寺院に返却されたというものです。

この古物商は、4月に京都市で開催された骨とう業者向けのオークションで、盗品とは知らずに仏像を落札していました。

 

購入品が盗品だったら返却が必要なのか

盗品だと知らずに購入したものは民法192条(即時取得)に則り取引成立時点で購入者のものになります。

よって原則として、購入者が持ち主に返却する義務はありません。

ただし、民法193条(盗品又は遺失物の回復)では盗難から2年以内に限り、被害者は返還請求できることを定めています。

従って盗品とは知らずに購入した場合であっても、盗難から2年以内に請求があれば返却しなければなりません。

 

なお返却の際に購入代金が戻ってくるかどうかは、いくつかのパターンによって異なります。

パターンの最も大きな分岐点は、購入者が古物商かどうかということです。

 

購入者が古物商ではない場合の弁償

購入者が古物商ではない場合は、民法193条(盗品又は遺失物の回復)の例外規定である194条で「被害者は、占有者が支払った代価を弁償しなければ、その物を回復することができない」と定めています。

つまり、購入者は盗品を返却する代わりに、購入額相当の弁償を被害者に請求できるのです。

盗品であることを知らずに買ったのに、現物を返さなければならないうえにお金も帰ってこないのはあんまりだろう、ということです。

購入者もある意味、被害者ですからね。

 

購入者が古物商の場合の弁償

購入者が許可された古物商(古物商は許可制です)だった場合は、民法よりも優先して古物営業法が適用されます。

プロにはプロのルールがあるのです。

古物営業法によると、購入した相手が「公の市場や他の古物商」か「それ以外(一般人など)」かによって、盗品返却時の弁償の扱いが変わってきます。

「公の市場や他の古物商」から購入した場合は、盗難から1年以内は無償で返却しなければなりませんが、1年を超えていれば返却の際に購入額を弁償してもらえるのです。

一方「それ以外(一般人など)」から購入した場合は、返却の義務がある2年間の間ずっと、無償で返却しなければなりません。

素人とプロの取引きにおいては、プロ側に全ての責任があるということです。

プロとしての技術と自覚が求められるということなのでしょう。

 

まとめ

今回の報道事例では、盗品の仏像を購入した古物商は、盗難から1年以内に返還請求を受けていました。

従って返却の対価は求められず、仏像を無償で返さなければなりません。

仏像が盗難されたのは昨年の6月ですので、返還請求が今年の7月以降に来ていれば購入代金を弁償してもらえたということになります。

以上、購入品が盗品だった場合には返却しなければならないのか、という話題でした。

 

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