山口県阿武町が誤って1世帯に給付金4630万円を振り込んでしまい返還を拒まれている出来事で、町役場と金融機関とのデータのやり取りに今でもフロッピーディスクが使われていたそうです。
フロッピーディスクという懐かしい名前が出て来たので、まだ売っているのか、寿命は大丈夫なのか等について調べてみました。
目次
4630万円誤送金の業務でフロッピーディスクが現役だった
山口県阿武町で誤送金があって揉めてる件は、こちらの記事をご覧ください。
こちらもCHECK
阿武町の副町長の会見の中で「ちょっと信じられないかもしれませんけど、まだ阿武町役場と銀行はフロッピーディスクを使って、支払い等を行っております」との発言がありました。
とっくに使うのをやめていた者にとっては「なぜまだ使っているの?」ですが、使っていた人にしてみれば「なぜ使うのやめたの?」だったようです。
金融機関はインターネットへの移行を勧めてきたようなのですが、町の担当者は「何も不都合は無いわけだし、やり方を変えてトラブルになったら大変」という思いがあったのでしょう。
しかし3.5インチサイズのフロッピーディスクの容量は、わずか1.4メガバイトほどです。
文字情報のあまり大量ではないデータでしたら格納できますが、高精細の画像データはひとつも入らないであろう大きさです。
フロッピーディスクってまだ売ってるのか
フロッピーディスクが私の周りから姿を消して久しいです。
今のパソコンにはフロッピーディスクの差込口はまず無いので、フロッピーディスクを使うのであれば、外付けのフロッピーディスクドライブ(読み書き装置)が必要です。
そんなもの売っているのかと思ったら、Amazonにありました。
中古とは書かれていない3.5インチ用が、4,000円前後で流通しています。
そしてフロッピーディスク自体も、Amazonで3.5インチサイズのものが10枚3,000円前後で売っていました。
こちらはソニーやマクセル、TDKなど日本の有名ブランドの商品です。
しかしメーカーの対応は、2009年に日立マクセルと三菱化学メディアが生産終了、最後のソニーも2011年に生産を終了していました。
世界的にも、現在フロッピーディスクを生産している会社は確認できませんでした。
10年以上も前に製造が終わっているのに今でも流通しているということは、よほど大量に在庫があったのか、あるいは一気に需要が減って在庫がさばけないのでしょう。
いずれにしても、製造はとっくに終了していますので、いつ市場から姿を消してもおかしくない状況です。
フロッピーディスクの寿命はどれくらいなのか
フロッピーディスクの寿命は、使い方にも依るのでしょうが、「2~10年程度」と言われています。
他の主な記憶媒体の寿命は以下のとおりです。
- 光ディスク(CD,DVD等): 10~30年程度
- ハードディスク: 3~5年程度
- フラッシュメモリ: 5~10年程度
比較してみると光ディスクには敵いませんが、ハードディスクやフラッシュメモリに対しては「運が悪ければ早くダメになる」けれども、意外にも大きく見劣るわけではありません。
フロッピーディスクの発明者が日本人って本当?
日本の発明家であるドクター中松氏が「フロッピーディスクを発明したのは自分だ」と主張しているという話を聞いたことがあります。
しかし実際には、フロッピーディスクを世界で最初に考案・開発・販売したのは米IBM社です。
IBM社は1970年に開発し、翌1971年に特許を取得し、当初は「ディスケット」という名で8インチフロッピーディスクを商品化しています。
IBM社がフロッピーディスクの構造に関連する特許を洗い出し、訴訟等の紛争を避けるために特許使用契約を結んでいった中のひとつに中松氏の特許があった、というのが真相のようです。
IBM社と中松氏の契約は1979年であり、「ディスケット」発売の8年も後のことですので、中松氏がフロッピーディスクを発明したという主張には無理があります。
なおフロッピーディスクの中で最後発の3.5インチは、ソニーが1980年に開発したものです。
まとめ
最近の若い人には、ソフトウェアの「保存マーク」がフロッピーディスクを表していることを知らない、つまりフロッピーディスクを見たことが無い人もいるそうです。
その一方で、今でも粛々とフロッピーディスクが使われ続けている現場が存在します。
フロッピーディスクは容量の小ささはあるものの、安全性や利便性で他の媒体に大きく劣るわけではありません。
ですがまだ当分使い続けるつもりであれば、販売している今のうちに、フロッピーディスクとフロッピーディスクドライブの両方を購入しておいた方が良さそうです。
以上、4630万円誤送金があった業務で、いまだにフロッピーディスクが現役だったという話題でした。