生活・社会

ゴーストガン規制の難しさ。日本は銃の拡散を阻止できるのか

2022年4月12日

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米国のバイデン政権は、ゴーストガンの規制に乗り出すことを発表しました。

ゴーストガン?幽霊銃?

この正体を知ると、日本が銃の拡散を阻止することの難しささえ感じてしまいます。

それでは行ってみましょう。

 

ゴーストガンとは

銃社会と言われる米国ですが、誰でも銃を購入できるわけではありません。

購入希望者の身元調査期間が設けられ、警察による犯罪歴等の調査が義務づけられています。

そして購入された銃にはシリアル番号が刻印され、購入者の身元とともに登録されるのです。

これにより、米国の社会に出回っている銃の存在は、すべて把握されています。

しかし、実はこれには抜け道があります。

完成品ではない、部品の流通です。

完成品であれば義務付けられる身元調査や登録も、ネットで部品を購入すれば不要です。

自分で組み立てられなくても、組み立てを請負う者や、組み立てたのちに販売する闇業者が存在するのです。

知識があれば3Dプリンターでも簡単に製造できますし、組み立てキットも流通しているそうです。

これらのように非公認に流通する銃は「ゴーストガン」と呼ばれています。

データが存在せず実態が不明な銃だから「ゴーストなガン」なのですね。

 

米国の規制への動き

米国では、毎日100人以上が銃で撃たれている計算になるそうです。

バイデン政権は許可されていない武器の拡散を問題視し、ゴーストガンの抜け道を塞ぐことに乗り出すと発表しました。

しかしこの取り組みを実効性の高いものにするのは容易なことではないでしょう。

なにしろ流通の実態をつかめない銃を規制しようというのですから。

うがった見方をすれば、ゴーストガン規制の動きは、ライフル協会など公認の銃器販売者に対するアピール活動と言えなくもありません。

また一方で、米国民は憲法で武器を保有し自己を防衛する権利を認められています。

この権利は、未開地の開拓や奴隷制度などの歴史の中で根付いてきた基本的な権利ですので、規制の動きには多くの抵抗や困難が伴うものと予想できます。

 

日本への影響

上述のとおり米国では1日あたり100人以上が銃で撃たれていますが、日本はというと年間10人前後です(警視庁:日本の銃器情勢)。

実に米国の4000分の1ということになります。

太平洋戦争の直後に発令された銃砲等所持禁止令は、世界初の銃規制と言われています。

現在でも猟銃を取得するためには、講習や筆記試験、実技試験、精神鑑定、薬物検査、身辺調査など、実に数か月もの期間を要するとのことです。

このように、公認の手続き上は、日本の銃管理は厳しく統制されています。

だからこそ、日本では一部の人を除いて銃とは縁が無いわけです。

しかし、流通の実態を掴むのが困難なゴーストガンとなると話は別です。

銃が完成品ではなく「銃の形ではない部品」として国外から入ってきた場合、水際で阻止するのは至難の業だと思われます。

またインターネット上で入手した設計図を元に3Dプリンターで自作されてしまうこともあり得ます。

実際2014年に、国内の大学職員がこの方法で拳銃を製造して逮捕されました。

こうなると、3Dプリンターの入手を登録制にしたり、制作者を特定できる何らかの識別を埋め込む仕組み等を開発しない限り追跡は困難だと思われます。

なお3Dプリンターに関しては、「法規制すべき」という意見と「法規制は産業や文化の発展を阻害する」という意見の双方があり、結論は出ていません。

 

まとめ

ボーダーレスな現代社会においては、米国のゴーストガンの現状を対岸のこととのんびり傍観できません。

銃の無い社会は、世界的に名高い日本の安全性の象徴とも言えるものです。

今のこのあたりまえを失う前に、ひとりひとりが危機感を持つことから始めてみませんか。

以上、ゴーストガンについてでした。

 

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