生活・社会

知床遊覧船事故なぜ生存者がいないのか。救命胴衣は意味がない?

2022年4月27日

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26名が乗っていた知床遊覧船の事故では、生存者が見つかっていません。

瞬時に沈没したわけではなく、救命胴衣を装着する時間もあったはずなのに。

 

知床遊覧船事故当日の経緯

事故のあった2022年4月23日は、強風注意報と波浪注意報が出ていました。

午後1時の付近の気温は5.8度と、東京の2月の平均気温(5.7度)に匹敵する寒さでした。

当時の海水の温度は3度程度だったろうと推定されています。

子供2名を含む26名(うち船客24名)を乗せた知床遊覧船KAZUⅠ(カズワン)は、午前10時に出航しました。

出航時点では約0.5mと穏やかだった波の高さは、波浪注意報のとおり午後1時には3m程度まで上がっていました。

異常発生以降の、カズワンからの連絡は以下のとおりです。

  • 13:13  カズワンから運航会社へ「沈みかけている」と連絡。
  • 13:18  カズワンから海上保安庁へ「浸水している。エンジン使えない。滝のそば。救助を求める。」と通報。
  • 14:00頃  カズワンから運航会社へ「船首が30度傾いている」と連絡。以後連絡絶つ。

最初の連絡から連絡を絶つまで、40分以上の時間がありました。

船内には十分な数の救命胴衣が装備されていたとのこと。

船が沈んだとしても、沈没前に船から離れる時間的な余裕はあったはずです。

 

知床遊覧船の生存者が見つからない理由

発見された11名はいずれも亡くなっています。

身体に目立った損傷はなく、死因は溺死と発表されています。

 

低温の海に投げ出されると、体温が奪われ短時間で身体が動かなくなります。

身体の内部が35度以下まで冷え込むと、脈拍の低下や意識障害など低体温症の症状が出てきます。

泳ぎの得手不得手は関係ありません。

沈まず海上に浮いていたとしても、水温3度の状況下では15分程度で意識を失う恐れがあるのです。

気を失えば溺死の可能性が高まりますし、その後生存していたとしても1時間程度が限度です。

このように、冬の海では濡れてしまうと厳しいのです。

水面下の下半身だけでなく、濡れた上半身も風にさらされて熱が奪われてしまいます。

 

冬の救命胴衣は意味がない?

寒い海に投げ出された場合、救命胴衣を着ていたとしても、付近に船がいてすぐに救助される状況でないと危険です。

泳ぎが達者であってもあまり意味がありません。

助かるかどうかは、近くに船が居るかどうかに尽きるのです。

カズワンの運航会社は、地元の協会の「運航開始は4月29日」という申し合わせを出し抜いて、単独で23日に運航を開始していたようです。

従って、付近に同業者の船はありませんでした。

また強風注意報と波浪注意報の発令を受けて、漁船の多くも漁を切り上げていました。

 

まとめ

寒い海に投げ出されて助かるためには、10分程度で付近の船に救助してもらうか、あるいは防水着で救命ボートに乗って待つかです。

ただし後者の場合は、波が高いと入水や転覆の恐れが高まります。

冬の船に乗った場合は、付近に船が居るかどうかが万一の場合に生死を分けます。

以上、知床遊覧船の海難事故についてでした。

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