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誤送金4630万円返金拒否男は逮捕。自己破産したら免責になるか?

2022年5月20日

誤送金4,630万円の問題で、誤送金先の男性が電子計算機使用詐欺の容疑で逮捕されました。

男性は容疑を認め、取り調べに素直に応じているとのことです。

ただし逮捕が返金に直接結びつくわけではありませんので、今後どのような展開が予想されるのでしょうか。

 

誤送金4,630万円返金拒否のおさらい

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概要はこんな感じです。

  • 4月8日、山口県阿武町の職員が、誤って1世帯に4,630万円を送金してしまった。
  • 誤送金先の世帯主は返金の意志を示していたが、その後返金拒否に転じた。
  • 誤送金先の世帯主は約2年前に空き家バンクを利用して移住してきた24歳男性。
  • 5月12日、町は男性に対して返還を求める民事訴訟を起こした。
  • 5月16日、男性の弁護士が会見し、お金は使い切ったことと、警察の任意聴取に応じていることを説明。
  • 5月17日、男性の弁護士は、使途がネットカジノだったことを明かす。

 

誤送金4,630万円返金拒否の男は逮捕

5月18日、くだんの男性は誤送金と知りながら決済代行会社へ送金し不法な利益を得たとして、電子計算機使用詐欺の容疑で逮捕されました。

「送金はネットカジノで使用するため」と容疑を認めているということです。

男性は「大変申し訳なく思っています。少しずつでも返していきたい」と話しているそうですが、毎月10万円ずつ返したとして無利子でも完済まで50年は掛かってしまう計算です。

 

逮捕された男は自己破産か

お金を返せなくなった場合の債務整理の方法として、自己破産があります。

自己破産が認められれば、法的に債務は無くなります。

信用情報に自己破産の記録が残るため、生活するうえで以下のような制約が生じますが、借金はチャラになります。

自己破産後の主な制約

  1. ローンが組めない
  2. クレジットカードを利用できない
  3. 金融商品は購入できない
  4. 20万円以上の財産を持てない

自己破産が認められれば債務はチャラになると言いましたが、実は債務なら何でも自己破産でチャラになるわけではありません。

 

自己破産したら誤送金4,630万円返金は免責になるか

破産法252条(免責許可の決定の要件等)によると、浪費や賭博などで財産を減少させた場合は免責不許可の理由になる、としています。

つまりカジノで使い果たしてしまったお金は、自己破産しても返済義務が無くなりません。

 

ここで問題になるのは、男性が本当に全て使い切ったのか、ということの証明です。

使い切ったと言いながら、どこかに隠し持っている疑いは捨てきれません。

決済代行会社の入出金記録だけでなく、カジノの運営者に対して収支を確認できる資料の提示を依頼することになるでしょう。

 

納税義務も免責にはならない

男性には、実はとんでもない金額の納税義務が生じているものと思われます。

誤送金されたまま大人しく返金していれば何の落ち度もないので、税務署も黙っていたでしょう。

しかし使い込んだとなるともう明らかに所得ですので、来年の確定申告で所得税と地方税の納税対象となる可能性が高いです。

所得税が最大45%、地方税が10%とすると、納税額はざっと2,500万円ほどになります。

この納税分も、自己破産してもチャラにはなりません。

破産法253条(免責許可の決定の効力等)によると、租税等の請求権は自己破産で免責にならない、としているのです。

 

まとめ

借金と税金のどっちを優先して支払うかについては、財産の差し押さえが早いのは税金の方だから税金からと聞きますが、延滞金の比較も必要ですから何とも言えません。

この際、弁護士等の専門家の判断を仰ぐしかないでしょう。

今回の騒動は男性に非があることは間違いありませんが、とんだミスを発端に判断を誤り、人生が狂ってしまったといえます。

以上、逮捕された誤送金先男性が自己破産したら返金はチャラになるかについてでした。

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