生活・社会

誤送金4630万円を使い切ったネットカジノは違法では。逮捕例は?

2022年5月17日

山口県の誤送金4,630万円の話題の続きです。

返金を拒んでいた男性は、なんと誤送金の全額をネットカジノで使い切ってしまったのだそうです。

使い切ってしまっていれば、それは返せませんね。

ところで、日本では賭博行為は違法なはずです。

ネットカジノでの賭け事は捕まらないのでしょうか。

 

誤送金4,630万円返金拒否のおさらい

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概要はこんな感じです。

  • 4月8日、山口県阿武町の職員が、誤って1世帯に4,630万円を送金してしまった。
  • 誤送金先の世帯主は返金の意志を示していたが、その後返金拒否に転じた。
  • 誤送金先の世帯主は約2年前に空き家バンクを利用して移住してきた24歳男性。
  • 男性は職場を辞めて、連絡がつかなくなった。
  • 5月12日、町は男性に対して返還を求める民事訴訟を起こした。

 

誤送金4,630万円返金拒否のその後の展開

阿武町の説明では、誤送金先の男性とは連絡がつかないということでした。

しかし男性側弁護士が5月16日に会見し、男性と連絡が取れないのは誤解であることと、警察の任意聴取に応じていることを明かしました。

弁護士の発言は概ね以下のとおりです。

  • 警察に出頭し、任意聴取に2度応じている。
  • 所在は警察に明かしていて、連絡はつく状態である。
  • 本人のスマートフォンは警察に提出し本人の手元にない。
  • 誤送金の全額を使い切ってしまい所持していない。
  • 使途はモノの購入ではなく、スマホ操作による送金と聞いている。
  • 第三者の関与はないと認識している。

スマホは警察に提出していて男性の手元に無かったため、町からの連絡に応答できなかったようです。

町としては、お金さえ返してくれれば刑事事件化は求めないとしていましたが、男性の弁護士によると返金は困難とのこと。

そして気になるお金の使途については、男性の弁護士は会見の翌日「ネットカジノで使い切った」と説明しました。

「スマホ操作による送金」は、決済代行業者への掛金の送金だったのですね。

ほんの2週間ほどのうちに複数のサイトで使い切ったということは、おそらくネットカジノの経験があったのでしょう。

 

ネットカジノは違法じゃないのか

結論から言うと、日本でネットカジノ(オンラインカジノ)は違法ではありません。

でも合法とも言えません。

どういうことかと言うと、取り締まる法律が無い状態なのです。

法律が無いから取り締まれない、いわゆるグレーゾーンというやつですね。

 

日本では賭博行為が禁じられています。

2021年にカジノ法案(IR整備法)が施行されましたが、まだ認可されたカジノは国内に存在しません。

賭博をすれば「賭博罪」、賭博場を提供すれば「賭博場開張図利罪」で罰せられます。

しかしですよ、「ラスベガスのカジノで豪遊してきた」なんて公言しても逮捕はされません。

賭博行為が禁じられているのは国内のみだからです。

 

じゃあインターネット上での賭博は国内なのか海外なのか、どっちなんだという話です。

この結論は出ていません。

「海外で運営されているカジノをネットを介して日本で利用するのは、海外で賭博しているのと同じである」という意見を否定する根拠が法律上存在しないので、違法とはいえないわけです。

 

ただし、必ずしも「ネットカジノなら違法ではない」と言い切れるわけではありません。

以下の全てに該当するカジノでないと、摘発される可能性はあります。

  • 海外で認可されている運営者であること
  • 日本に運営者の拠点がないこと
  • 日本にサーバがないこと
  • 日本人向けを売りにするサービスではないこと

「海外の会社」というだけでは詰めが甘いと言われかねません。

日本人向けの賭場だと思われるようなサイトは避けた方が無難です。

 

ネットカジノの逮捕例

2016年、海外のカジノサイトを利用して賭博をしていたとして、3名が逮捕されました。

利用していたカジノは海外で認可を受けているサイトでしたが、日本人ディーラーを起用して多分に日本人向けを意識したカジノであったため、当局から目をつけられたようです。

逮捕された3名のうちの2名は略式起訴を受け入れましたが、残りの1名は不当逮捕を主張し法廷で争う構えを見せました。

そして結果的に、この1名は不起訴処分となったのです。

 

賭博をした者の罪である「賭博罪」よりも、賭博場を提供した罪の「賭博場開張図利罪」の方が重い罪になります。

胴元である賭博場提供者を取り締まるのが主目的であって、賭博をした者を罰するのはオマケのようなものです。

ところが、本件のカジノサイトは海外で認可され合法的に運営されており、日本で取り締まれる対象ではありません。

胴元が裁かれないのに、そこでの利用者だけ処罰されるのは合理的ではない、という判断に至ったものと考えられます。

今の法律でネットカジノを裁こうとすると、つじつまが合わなくなるんですね。

 

検察側からすると、3人とも大人しく略式起訴を受け入れてくれれば、ネットカジノ利用者を牽制できて、拡大に歯止めをかけることができたのに、と悔しかったことでしょう。

一方で不起訴処分を勝ち取った人は、ここで自分が投降したらネットカジノが規制されてしまうと、日本の愛好家を代表している気概で闘ったのではないかと思います。

 

まとめ

誤送金4630万円を返金できないと言っている男性は、当初は返す意志を見せていました。

おそらく、返金する前に増やして利益分を懐に、と考えたのでしょう。

返すつもりなら一か八かの手段を選ぶべきではなかったですが、思いがけない大金に普通の精神状態ではなくなってしまったのかもしれません。

ネットカジノの話に戻すと、違法ではないけど合法とも言い切れないので、安全な条件下であることの確認、特に運営者の吟味が重要だと言えそうです(24歳の男性は別のサイトだったら儲かっていたかもと言っているわけではありません)。

 

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