「梅雨の走り」という言葉、今まで聞いたことはあったけれど、なんとなく知ったつもりでスルーしていました。
どんな意味の言葉なのか、いつのことを指すのか、そして梅雨の走りに類似する言葉についてまとめてみました。
梅雨の走りの意味
梅雨の走りは、梅雨入り前の梅雨のようなぐずついた天気のことを指します。
流行等のさきがけのことを「走り」と言いますが、そのような意味ですね。
本州の南に位置する梅雨前線の影響で湿った空気が流れてくることが、梅雨の走りの原因です。
梅雨の走りは、梅雨のように何週間にも渡って続くわけではなく、通常は数日間程度で収まります。
梅雨の走りはいつの言葉か
梅雨の走りはいつの言葉かというと、上述のとおり「梅雨になる前」というところがポイントです。
本州に先行して沖縄や奄美大島が梅雨入りする5月の中旬から下旬頃に、本州の南方に張り出す梅雨前線の影響で発生することが多いのです。
梅雨の走りは梅雨になる前の天候ではありますが、梅雨の走りの延長で梅雨入りすることは珍しく、一旦は天候が回復し夏らしい晴天が続くのが一般的です。
そして小休止の後に、本州は本格的な梅雨を迎えるのです。
梅雨の走りと似た意味の言葉
梅雨の走りと似た言葉としては、以下のようなものがあります。
- 走り梅雨
- 迎え梅雨(迎へ梅雨)
- 卯の花くたし(卯の花腐し)
いずれも夏の季語ですが、特に初夏の旧暦4月(いまの5月)にピンポイントで用いられる言葉です。
このうち「走り梅雨」と「迎え梅雨」は、梅雨の走りの類似として連想しやすいのではないかと思います。
それでは「卯の花くたし」はどういう由来でしょう。
卯の花(ウツギ)は、細かく密集した白い花を5月に咲かせます。
注)豆腐の製造過程でできる「おから」のことを卯の花とも呼びますが、白いウツギの花に例えたものと言われています。
「卯の花くたし」は、この卯の花を腐らせる(もしくはくたくたにさせる)ほどぐずついた天気が続くという意味です。
ほぼ同じ時期の季語でも、「走り梅雨」や「迎え梅雨」より映像をイメージし易い言葉かもしれませんね。
まとめ
梅雨の走りは「梅雨の序盤」と間違いやすい言葉ですが、梅雨のことではありません。
本来の梅雨の前に「梅雨のような天候」が数日間続くことを言います。
そして天候は一旦回復するのが普通ですので、数日間我慢すれば夏らしい晴天がやってくる可能性が高いです。
その後の本格的な梅雨に備えて、梅雨の走りの後は暫く晴天を楽しみたいものです。
以上、梅雨の走りという言葉に関する話題でした。