生活・社会

誤送金4630万円の返金拒否は取り返せるか。どんな罪になる?

2022年4月29日

山口県阿武町が誤って1世帯に給付金4630万円を振り込んでしまい、返還を拒まれているそうです。

お金は取り返せるのでしょうか。

また誤送金の返金を拒否したら、どんな罪になるのでしょうか。

 

誤送金4630万円の返金拒否の経緯

4月8日、阿武町の職員が新型コロナウイルス禍の生活困窮者向け給付金10万円を463世帯に振込む際に、誤って名簿の一番上にあった1世帯に463世帯分を振込む内容の依頼書を作ってしまい、別の職員が金融機関にそのまま提出したとのこと。

誤って振り込まれた世帯主は当初返金の意向を示していたものの、その後拒否に転じ「金は別口座に動かし、元に戻せない。罪は償う」と答えていると言います。

 

誤送金の返還請求訴訟を起こす

相手の世帯主が承諾しない限り、金融機関に依頼しても組み戻し等の返金対応を行ってはくれません。

ここはもう民事訴訟を起こすしかないでしょう。

誤送金による利益は契約上の根拠がない不当な利益ですので、世帯主は民法703条で規定される返還義務を負います。

内容証明による「不当利得返還請求」に応じなければ、裁判所に「不当利得返還請求訴訟」を提起することになります。

 

訴訟で取り返せない場合

訴訟で返還の義務は認められるでしょうが、民法第703条に「その利益の存する限度において返還する義務を負う」とあるように、問題は「利益が存しない」場合です。

利益が存しないように見えても、物品購入や借金返済に使っている場合は形を変えて利益は存していますので返済義務は残っています。

しかし遊興費やギャンブルに使いこんでしまってお金が溶けてしまっていた場合は、「利益が存しない」と認められて返済義務を負わない判断となる恐れがあるのです。

今回の事例では、当初は返済に応じる姿勢を見せていましたので、誤送金のお金を返す前に増やそうとして失敗し返せなくなった可能性があります。

別に返済に充てられる資金が無いとなると(そもそも誤送金したのが生活困窮者向けの給付金だったことを考えると、別に資金があるとは考えにくいので)、返済の実現は厳しいかもしれません。

 

誤送金の返金拒否はどんな罪になるか

返金が無理となると、刑事告訴を検討することになります。

刑事告訴は返金に結びつくものではありませんが、税金を使いこまれて黙っているわけにはいかないでしょう。

誤送金による不当な利得と知りながら別口座に移動させていたならば、刑法第246条の2の「電子計算機使用詐欺罪」が適用される可能性があります。

また金融機関の窓口で払い戻しを受けていれば刑法第246条の「詐欺罪」の可能性がありますし、ATMで引き出していれば刑法第235条の「窃盗罪」が成立する可能性もあります。

 

まとめ

問題の世帯主が「罪は償う」と腹をくくったような発言をしているのが気になります。

税金が原資であるお金が返ってこないとなると、町の責任を問う声も出てきそうです。

以上、誤送金4630万円の返金を住民が拒否した話題でした。

 

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