生活・社会

から揚げ値上げの連鎖。ウクライナ情勢でブラジル産鶏肉がなぜ高騰?

2022年4月24日

から揚げの値上げの連鎖が止まりません。

ローソンの「からあげクン」も発売以来初の値上げだそうです。

燃料費や穀物等の値上がり、そして円安によって多くの業界でコスト増が拡大していますが、から揚げで顕著なのはブラジル産の鶏肉が高騰していることです。

この裏にはどんな事情があるのでしょうか?

 

からあげクンお前もか!

インパクトがあったのは、ローソンの人気商品「からあげクン」の値上げです。

本体価格200円(税込み216円)が5月31日に20円値上げして220円(税込238円)になるといいます。

値上げ率は10%です。

発売以来ずっと生産効率の見直し等で価格据え置きを続けてきましたが、ついに耐え切れず36年目にして初の値上げだそうです。

 

から揚げ値上げ連鎖の理由

小麦粉等の穀物や植物油そして燃料費などの世界的な高騰は、多くの商品の生産コスト増に繋がっています。

加えて、金利差拡大による円安の加速により、輸入品は総じて値上がり傾向にあります。

特にから揚げ業界にとって痛いのは、ブラジル産鶏肉の高騰です。

ブラジル産の鶏肉は、国内の輸入鶏肉の何と7割を占めています。

7割と言ったら圧倒的多数です。

一か国からの輸入に集中するのは危険なことなのですが、ブラジル産の鶏肉は低価格な割に品質が均一化されていると評判なため、集中化が進んでしまったようです。

ブラジル産鶏肉の主要生産地である南部地域はトウモロコシや大豆の大生産地でもあるため、飼料のコストを安く抑えることが可能です。

またブラジルでは大企業による生産から加工までのインテグレーション化が進んだことにより、品質の均一化と低価格化が実現しました。

現在ブラジルは世界最大の鶏肉輸出国であり、その量は全世界の鶏肉輸出量の約3割に及びます。

 

ウクライナ情勢でブラジル産鶏肉がなぜ高値?

ブラジル産鶏肉高騰の主な要因は、円安とウクライナ情勢です。

円安は言わずもがななので割愛しますが、なぜウクライナ情勢が悪化するとブラジル産鶏肉が高騰するのでしょうか。

それは、ウクライナが鶏肉の輸出国であり、ロシアの侵攻後その輸出量が激減しているからです。

輸出量自体はブラジルの約3,700千トン(2020年)に比べて450千トンと少ないものの、ブラジルが輸出先を多くの国に広げているのに対して、ウクライナはヨーロッパや中東向けに特化する形で供給してきました。

ウクライナから鶏肉を輸入してきたこれらの国が、仕入先を見直さざるを得ない中で、ブラジルに仕入先を変えているのです。

これにより、ブラジル産鶏肉が品薄気味になり、高騰しているわけです。

 

それでは輸入相手国を分散していれば値上がりの影響を抑えられたのかと言うと、そう簡単な話ではないようです。

そもそも円安の影響は、どの国から買っても免れることはできません。

そして西欧諸国はウクライナの代替に多くの国に分散して仕入先拡大を進めていますので、ブラジル産に限らず海外の鶏肉は総じて高騰しています。

また鶏肉の品薄だけでなく、「世界の穀倉地帯」と言われるウクライナからの穀物供給不足により、世界的に飼料が値上がりしていることも、各国の鶏肉価格上昇の要因になっています。

 

国産鶏肉も連鎖値上げで食卓ピンチ

ローソンの「からあげクン」は、実はブラジル産ではなく国内産の鶏肉を原料に使っています。

小麦粉も100%国産です。

しかし、いまや国産原料も輸入品に連鎖して値上がりしているのです。

輸入鶏肉が高騰すると、国産鶏肉との価格差が縮まります。

価格差が縮まるだけでなく、輸入鶏肉が品薄になってくると、安定的に仕入れられて品質も良い国産鶏肉に切り替える動きが出てくるのです。

このように、いま輸入品に釣られるように国産の鶏肉も値上がりしています。

 

まとめ

今の時代、原材料の値上がりはあっという間に世界中に連鎖します。

鶏肉はあくまで一例にすぎず、あらゆるものに同様なことが言えます。

地球上のどこで起きていることも、遠い彼方の出来事ではないのです。

以上、から揚げの連鎖値上げに関する話題でした。

 

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