リーダー逮捕の反ワクチン団体が影響受けるＱアノン。日本が発祥？

新型コロナウイルスのワクチン接種に反対する団体「神真都（やまと）Ｑ会」のリーダーが逮捕されました。

新型コロナワクチンの接種に抗議するために、東京都渋谷区のクリニックに侵入した容疑によるものです。

この団体が強く影響を受けたのが「Qアノン」というアメリカの政治運動と言われています。

反ワクチン団体リーダー逮捕の経緯

2022年4月7日朝、「神真都Ｑ会」メンバー10名ほどで渋谷区のクリニックに侵入し、１時間以上にわたり「新型コロナワクチンの接種は犯罪行為だ」と抗議したとされています。

その場で4名が現行犯逮捕され、その後リーダーはホームページなどで釈明の動画を公開していました。

「神真都Ｑ会」は全国各地で反ワクチンデモを行い、またワクチン接種会場での妨害行為を繰り返していたとのことです。

「神真都Ｑ会」は、アメリカの「Qアノン」と呼ばれる運動に強く影響を受けていたと言われます。

このQアノンは、2017年10月、英語圏の匿名掲示板である4chanと8chanでの「Q」と名乗る人物の投稿に端を発します。

投稿が示唆した内容の趣旨は以下のとおりです。

とにかく救世主がドナルド・トランプですので、共和党や右派に支持者が際立って多いのです。

当然のことながら、Qアノンが戦う相手である「影の国家」の幹部は、民主党やそれを支持する財界・マスコミであるとの主張になります。

Qアノンは、一般的にカルト宗教とみなされます。

一説によると信者は3,000万人、熱心な層だけで10万人規模と言われています。

信者によって多数の暴力的な事件が引き起こされているため、FBIと欧州刑事警察機構は潜在的なテロ脅威としてマークしています。

2021年1月の米連邦議会襲撃事件も、トランプの扇動に呼応した結果と言われるように、Qアノンが大きく関わったものと見られています。

「影の国家を支配する悪魔崇拝の小児性加害者である民主党支持者のエリート達と、ドナルド・トランプは秘密裏に戦争を繰り広げている」という奇想天外な構図が、Qアノンの陰謀論の中核です。

これをアメリカ国民の10分の1の人たちが信じているというのですから驚きです。

トランプ自身はQアノンについて「おそらく僕のことが好きらしいというほかは、実際は何も知らないんだ」と答えています。

信者たちに言わせれば、「トランプは秘密裏に戦っているんだから、そりゃあ知らないフリをするよね」と意に介しません。

不都合な事実には目をつむり、すべてを「影の国家vsトランプ」に結びつけるのが彼らの基本的な考え方です。

トランプが不都合な報道を「フェイクニュースだ」と決めつけるのとよく似ていますね。

Qアノン信者にとって民主党陣営の活動はみな裏の目的があります。

巨大な児童売春組織を陰で運営するための陰謀なのです。

大小数多くの陰謀を作り上げることで、彼らは安堵し満足します。

例えば、プーチンは民主党政権と闘っているから擁護の対象となり、「ウクライナ侵攻はウソ」という陰謀が作り出されます。

プーチンはトランプと連携しながらバイデンと闘っている、というストーリーになるのです。

自己満足で収まっているうちは良いのですが、往々にして陰謀を阻止するための過激な行動に結びつくのが問題なのです。

有名なのはQアノンの陰謀論の前身といわれる「ピザゲート」事件です。

2016年秋、ヒラリー・クリントン陣営のメールがハッキングされ、その内容がワシントンD.C.のピザ店を拠点に人身売買や児童買春おこなわれていることを暗示している、という主張がネット上で拡散しました。

これを信じた男が実際にピザ店に押し入り、ライフル銃で発砲するという事態に発展したものです。

Qアノンは英語圏の匿名掲示板で発生し、アメリカで拡大した運動です。

ただ、そのプラットフォームである「4chan」や「8kun（旧・8chan）」は、日本の匿名掲示板である「5ちゃんねる（旧・2ちゃんねる）」や「ふたば☆ちゃんねる」などの影響を受けて生まれたものです。

このことから、「Q」の正体ではないかと噂されるジム・ワトキンスは、「Qアノンは日本発祥の匿名掲示板カルチャーから始まったのだから、日本が生み出したともいえる」と語っています。

Qアノンの問題は２つあります。

一つ目は、相手に聞く耳を持たないことです。

そして二つ目は、相手を力ずくで妨害することです。

どのような思想を持とうが個人の自由なはずですが、思想の異なる人たちに妨害行為をするとマズいことになりますよね。

以上、反ワクチン団体の逮捕から派生した、Qアノンの話題でした。